家電量販店の売り場で「Wi-Fi 7対応」というシールを見て、今使っているルーターより古いのかもと不安になったことはありませんか。値段を見ると、Wi-Fi 6対応の機種よりかなり高いことも珍しくありません。

この記事では、Wi-Fi 7が一人暮らしの部屋で実際に必要かどうかを、Wi-Fi 6・6Eとの違いから整理します。体感が変わる条件と変わらない条件を分けて考え、買い替えの判断材料をまとめました。

この記事の結論

結論:多くの一人暮らしはWi-Fi 6で十分

先に結論からお伝えします。多くの一人暮らしでは、Wi-Fi 7に買い替えても体感の速さはほとんど変わりません。理由はシンプルで、体感を決めているのは規格の新しさより先に「契約している回線の速度」と「ルーターの置き場所」だからです。

Wi-Fi 7が力を発揮するのは、10ギガの光回線を契約している、かつスマホやPCもWi-Fi 7に対応している、という条件がそろったときに限られます。この条件に当てはまらない一人暮らしなら、無理にWi-Fi 7に飛びつく必要はありません。今のルーターが古くて不安定なら、まずはWi-Fi 6対応の実機への買い替えを検討するほうが、費用に見合った体感の変化を得やすいです。

しくみ:Wi-Fi 6・6E・7は何が違うのか

「Wi-Fi 6」「Wi-Fi 6E」「Wi-Fi 7」という名前だけ見ると、数字が大きいほうが単純に速いように感じます。ここでは規格名の暗記ではなく、何が変わったのかを順番に説明します。

まずWi-Fi 6は、2.4GHz帯と5GHz帯という2つの周波数(電波の通り道)を使う規格です。多くの機器が同時に通信しても混雑しにくい工夫が入っていて、一人暮らしのワンルームでも広く使われています。

Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6の仕組みに加えて「6GHz帯」という新しい周波数を使えるようにした規格です。日本では2022年9月に総務省が制度を改正し、6GHz帯(5925MHzから6425MHzまでの帯域)を無線LAN用に開放したことで使えるようになりました。6GHz帯は従来の2.4GHz帯・5GHz帯より新しく空いている道なので、近隣の家庭用Wi-Fiと電波がぶつかりにくいという利点があります。

Wi-Fi 7は、この6GHz帯の使い方をさらに広げた規格です。Wi-Fi Alliance(Wi-Fi規格の国際団体)の公開情報によると、Wi-Fi 7では6GHz帯で最大320MHzという幅の広いチャンネル(一度に通信できる道の広さ)が使えるようになり、これはWi-Fi 6の最大160MHzの2倍にあたります。加えて「Multi-Link Operation(MLO)」という、2.4GHz・5GHz・6GHzの複数の周波数を同時に使い分ける仕組みも新たに備わりました。日本でも2023年12月に総務省が制度を改正し、6GHz帯で320MHz幅の通信が使えるようになっています。

ここまでの違いを表にまとめると、次のようになります。

規格 使える周波数帯 最大チャンネル幅 複数の周波数帯の同時利用(MLO)
Wi-Fi 6 2.4GHz / 5GHz 160MHz なし
Wi-Fi 6E 2.4GHz / 5GHz / 6GHz 160MHz なし
Wi-Fi 7 2.4GHz / 5GHz / 6GHz 320MHz あり

(出典:Wi-Fi Allianceの公開情報。日本国内では2022年9月の制度改正で6GHz帯が、2023年12月の制度改正で320MHz幅が使えるようになりました)

Wi-Fi 6・6E・7の違いをイメージした図解

なお、日本の6GHz帯は500MHz幅(5925MHzから6425MHzまで)で、海外の一部の国より割り当てられた帯域が狭いという事情があります。とはいえ、320MHz幅の通信自体は日本でも制度上使えるようになっているため、「日本では規格の性能が発揮できない」とまでは言えません。ここから先は、その性能が一人暮らしの実生活で意味を持つかどうかを見ていきます。

一人暮らしで体感が変わらない理由

Wi-Fi 7を語るうえで見落とされがちなのが、「契約している回線の速度」という土台の存在です。

たとえるなら、Wi-Fiルーターは家の中の水道の蛇口のようなものです。蛇口をどれだけ大きく立派なものに交換しても、家に引き込まれている水道管そのものが細ければ、出てくる水の量は変わりません。契約している光回線が1Gbpsのプランであれば、ルーターをWi-Fi 7対応の最新機種に替えても、通信の上限はその1Gbpsのまま変わらないのです。

一人暮らしのワンルームで動画を見たり、オンライン会議をしたりする程度の使い方であれば、多くの場合は1Gbpsの回線でも余裕があります。この場合、ボトルネック(詰まりやすい場所)になっているのはルーターの規格ではなく、部屋の間取りや壁の位置、ルーターの置き場所であることのほうが多いです。規格を新しくする前に、まずこうした条件を見直すほうが体感の変化につながりやすいといえます。

体感が変わる条件

一方で、次のような条件がそろっている場合は、Wi-Fi 7への買い替えで体感が変わる可能性があります。

  1. 10ギガの光回線を契約している、またはこれから契約する予定がある:回線側の上限が高いほど、規格の新しさが生きてきます
  2. スマホやパソコンなど子機側もWi-Fi 7に対応している:ルーターだけをWi-Fi 7対応にしても、子機が対応していなければ、その部分の通信はこれまでと同じ規格で行われます。買い替え前に、使っている端末の対応規格を確認しておくことが大切です
  3. 集合住宅などで周囲のWi-Fi電波が混み合っている:6GHz帯は比較的新しく空いている周波数なので、近隣の電波との混雑を避けやすいという利点があります。ただしこれは6GHz帯そのものの利点で、Wi-Fi 6E対応機でも同じように得られます。混雑対策だけが目的なら、Wi-Fi 7でなくてもかまいません

逆に言えば、1と2のどちらにも当てはまらない一人暮らしであれば、Wi-Fi 7を選ぶ優先度は高くありません。3だけが当てはまる場合は、Wi-Fi 7ではなく6GHz帯に対応したWi-Fi 6E以降の機種で足りることがほとんどです。

買い替えより先に試すこと

ルーターの買い替えを考える前に、お金をかけずにできる見直しがいくつかあります。

これらを試してもまだ遅さが気になる、あるいは原因がはっきりしない場合は、Wi-Fiの速度測定の方法で現状を数字として把握してから、次の対策を考えるとよいでしょう。Wi-Fi 6の仕組みそのものについてはWi-Fi 6ルーターとは何かでも詳しく解説しています。

買い替え前に試すべき見直しポイントのイメージ

あなたに合うのはどれ?

ここまでの内容をふまえて、状況別に整理します。

今のルーターが古く、契約回線は1Gbps前後の一人暮らしなら、Wi-Fi 7に飛びつくより、Wi-Fi 6対応の実機に買い替えるほうが費用に見合った体感の変化を得やすいです。古いルーターは規格だけでなく本体の処理性能も今の機器の数に追いついていないことが多く、そこを新しくするだけでも改善が見込めます。

10ギガ回線をすでに契約している、またはこれから契約する予定がある人には、この選択肢は向きません。その場合はWi-Fi 7対応機を検討したほうが、規格の性能を生かせます。Wi-Fi 7対応機を選ぶときは、①6GHz帯で320MHz幅に対応しているか、②有線のLANポートが10Gbps(10GBASE-T)に対応しているか、の2点を必ず見てください。10ギガ回線を契約していても、ルーターの有線ポートが1Gbpsまでだと、そこで頭打ちになります。回線の比較は10ギガ光回線の比較を参考にしてください。また、そもそも「つながらない」「遅い」という悩みが規格の問題なのか他の原因なのか分からない人は、まずWi-Fiの速度測定の方法で原因を切り分けることをおすすめします。

買い替え前のチェックポイント

Wi-Fi 6対応機・Wi-Fi 6E対応機・Wi-Fi 7対応機のどれを選ぶ場合でも、購入前に次の点を確認しておくと失敗しにくくなります。

なお、対応規格や仕様は機種によって異なります。同じWi-Fi 6対応・Wi-Fi 7対応という表記でも、機種ごとにチャンネル幅の上限や搭載アンテナ数が違うことがあるため、「対応」の表記だけで全機種が同じ性能と考えないようにしてください。

よくある質問

Wi-Fi 7ルーターは一人暮らしに絶対必要ですか?

必須ではありません。契約している回線が1Gbps前後で、動画視聴やオンライン会議程度の使い方であれば、多くの場合Wi-Fi 6対応の機種で十分な体感が得られます。

Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いは何ですか?

どちらも6GHz帯という新しい周波数に対応していますが、Wi-Fi 7ではさらに広いチャンネル幅(最大320MHz)と、複数の周波数帯を同時に使い分けるMulti-Link Operationという仕組みが加わっています。

スマホがWi-Fi 7に対応していない場合、ルーターだけ買い替える意味はありますか?

対応していない端末との通信は、これまでと同じ規格で行われます。Wi-Fi 7の性能をフルに生かすには、ルーターと子機の両方が対応している必要があります。ただし、Wi-Fi 6対応機への買い替え自体は、古いルーターからの乗り換えとして意味を持つことがあります。

集合住宅に住んでいると、Wi-Fi 7のほうが有利になりますか?

6GHz帯は比較的新しく空いている周波数のため、多くの世帯が同時にWi-Fiを使っている環境では、電波の混雑を避けやすいという利点はあります。ただしこれはWi-Fi 7に限った話ではなく、6GHz帯に対応したWi-Fi 6E以降の機種であれば同じ利点が得られます。混雑が理由なら、Wi-Fi 7でなければならないわけではありません。また、その利点を感じられるかは建物の構造や周囲の利用状況によっても変わります。

運営者
運営者のひとこと「Wi-Fi 7対応」という表記を見ると、つい新しいほうが良さそうに感じてしまいますよね。ただ、一人暮らしの多くは回線の速度やルーターの置き場所のほうが体感に効いてきます。買い替える前に、今の環境で試せることが残っていないか、一度確認してみてください。

まとめ:多くの一人暮らしはWi-Fi 6で十分、Wi-Fi 7は条件がそろってから

Wi-Fi 7は、6GHz帯でより広いチャンネル幅とMulti-Link Operationという仕組みを使える規格です。ただし、その性能が生きるのは、10ギガ回線を契約していて、かつスマホやPCなどの子機も対応している場合に限られます。

多くの一人暮らしでは、契約回線が1Gbps前後で、体感を左右しているのは規格そのものよりルーターの置き場所や周波数の振り分けであることのほうが多いです。今のルーターが古くて不安なら、まずはWi-Fi 6対応の実機への買い替えを検討し、10ギガ回線を使っている、またはこれから使う予定がある人はWi-Fi 7を検討する、という順番で考えてみてください。

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