昼間は普通に使えていたのに、夜、仕事や学校から帰ってきてくつろごうとした時間帯にかぎってWi-Fiが遅い。動画がくるくる回って止まる、SNSの画像がなかなか出てこない。ワンルームで一人、スマホを何度も再起動しても直らなくてイライラする。そんな「夜だけ遅い」に心当たりがある人は多いはずです。

結論から言うと、夜だけ遅いのは、あなたのスマホやルーターの故障ではなく「回線の混雑」が原因のことがほとんどです。そして多くの場合、機械を買い替えなくても、接続のやり方を切り替えるだけで無料で直せます。この記事では、なぜ夜だけ遅くなるのかと、一人暮らしでも今日からできる直し方を順番に説明します。

なぜ「夜だけ」遅くなるのか

夜の時間帯に通信が混雑するイメージのイラスト

理由はシンプルで、みんなが同じ時間にインターネットを使うからです。夜の20時から23時ごろは、仕事や学校を終えた人が一斉に帰宅して、動画やゲーム、SNSを使い始めます。道路が帰宅ラッシュで渋滞するのと同じで、ネットの通り道も夜に混みます。

とくに古いタイプの接続方式(PPPoEと呼ばれる方式)では、「網終端装置」という料金所のような通り道に全員のアクセスが集中して、そこが大渋滞になります。この料金所が混むと、いくら契約している速度が速くても、実際に出るスピードはガクッと落ちます。実測データでは、夜の混雑時にこの方式だと15Mbpsくらいまで落ち込む例も報告されています。

昼間は使う人が少ないので料金所もすいていて、普通の速度が出る。だから「昼は普通、夜だけ遅い」という差が生まれるわけです。

いちばん効くのは「IPv6(IPoE)」への切り替え

夜の混雑を避ける切り札が、IPv6(IPoE)という新しい接続方式です。これは先ほどの混みやすい料金所(網終端装置)を通らずに、すいている別のルートを走る仕組みだと考えてください。同じ夜の21時でも、古い方式が15Mbpsまで落ちる一方で、この方式なら350Mbps前後を保てたという実測例もあります。

うれしいのは、多くの光回線でこの切り替えが無料だということです。プロバイダのオプションとして申し込むか、対応ルーターに変えるだけで使えるようになります。IPv6(IPoE)の仕組みと申し込み方は、IPv6(v6プラス)とは何かをやさしく解説した記事で詳しくまとめているので、あわせて読んでみてください。

今の接続方式を確かめる方法

自分がもう新しい方式になっているか分からない人も多いはずです。確認は簡単で、Wi-Fiにつないだスマホやパソコンで「IPv6 接続確認」と検索して判定サイトを開くだけ。そこに「v6プラス」や「IPoE接続」と表示されれば、すでに新しい方式になっています。表示されなければ、切り替えの余地があるということです。

切り替え以外に、今日試せる無料の対策

Wi-Fiルーターを再起動して改善するイメージのイラスト

接続方式の切り替えがいちばん効きますが、その前に試せる無料の対策もあります。効果が出やすい順に並べました。

対策 手間 期待できる効果
ルーターを再起動する 1分 たまった不調がリセットされて回復することがある
5GHzのWi-Fiにつなぐ すぐ 混みにくい電波で夜も安定しやすい
ルーターの置き場所を変える 数分 電波が届きやすくなり速度が上がる
IPv6(IPoE)に切り替える 申込 夜の混雑を根本から回避できる

まずはルーターの電源を抜いて30秒ほど待ち、もう一度差し直す。これだけで直ることも意外と多いです。再起動と、設定を消す「リセット」は別物なので、違いはルーターの再起動とリセットの違いで確認しておくと安心です。

次に、スマホのWi-Fi設定で名前(SSID)の末尾に「5G」や「A」が付いたほうを選ぶと、混みにくい5GHzの電波につながります。2.4GHzと5GHzの使い分けは2.4GHzと5GHzの違いにまとめています。

それでも遅いと感じるなら、まず今の速度を数字で測っておくと、対策の効果が分かりやすくなります。測り方は通信速度の測定方法を参考にしてください。

それでも直らないなら、回線ごと見直す手も

無料の対策を試しても夜の遅さが変わらない場合、そもそも契約している回線が混雑に弱いタイプの可能性があります。マンションでみんなで1本の回線を分け合う設備だと、どうしても夜に遅くなりやすい構造です。マンションの設備による遅さはマンションのネットが遅い原因で解説しています。

その場合は、工事なしで使えるホームルーターや、混雑に強いIPv6対応の光回線に乗り換えるのも選択肢です。夜の遅さを含めた全体的な改善策はWi-Fiの速度を改善する方法にまとめているので、順番に試してみてください。

まとめ

夜だけWi-Fiが遅いのは、あなたの使い方が悪いわけではなく、みんなが同じ時間に使うことで起きる回線の混雑が主な原因です。まずはルーターの再起動と5GHzへの切り替え、そしてIPv6(IPoE)への切り替えを試すのが、お金をかけずに直す近道です。それでも変わらなければ、回線そのものの見直しを考えましょう。

よくある質問

Q. 夜だけ遅いのはルーターが古いからですか?

古いルーターが原因のこともありますが、多くは回線の混雑が原因です。まずは接続方式(IPv6かどうか)を確認し、それでも遅ければルーターの買い替えを検討する順番がおすすめです。

Q. IPv6に切り替えるとお金はかかりますか?

多くのプロバイダで申し込み自体は無料です。ただし対応したルーターが必要な場合があり、その費用はかかることがあります。金額は変動するので、契約中のプロバイダの案内で確認してください。

Q. スマホのギガを使わずに夜だけ乗り切る方法はありますか?

一時的にはスマホのテザリングでしのげますが、ギガを消費します。頻繁に夜が遅いなら、根本の回線側を直したほうが結果的に得です。通信量の考え方はギガ・Mbpsの用語解説を参考にしてください。

Q. 集合住宅だと夜の遅さはあきらめるしかないですか?

建物全体で回線を分け合う設備だと遅くなりやすいですが、部屋まで個別に引ける光や、工事不要のホームルーターに変えれば改善できることがあります。混雑の影響を受けにくい方式を選ぶのがポイントです。